朝からスコーン

考えたこと。やってみたこと。やってみたいこと。

シン・ゴジラ 感想

 

シン・ゴジラ、観てきました。感想をつらつらと。あ、ネタバレ苦手な人は読まないでくださいね。

 

官僚、チョーかっこいい

終始、官僚と政治の世界が描かれています。特に前半は大臣総出の閣僚会議、その他名前がいろいろありすぎてよくわかんなかったけどとにかくたくさん会議、会議、会議。これは現実の政府の対応の遅さ(特に3.11?)に対する皮肉でもあったのだとは思うのですが、実際こんなに大きな国を動かすのは一苦労なのだろうなとしみじみと思いました。ハエ1匹たたくのにも、法案通さないかんのやろうな、というくらい。

前半の自衛隊で1発目の攻撃をしかけようとした場面が印象的でした。ほとんどの住民の避難は終わってるけど、老人2人を発見。ゴジラを攻撃すると必ず巻き込んでしまう。このままゴジラを進行させて数万人の犠牲者を出すか、今ここで2人の老人を犠牲にしてしまうか。「合理的」に考えれば答えは明白、当然後者ですが、現実はそうシンプルなものではない。。。

ゴジラの第一回襲来後、外で騒ぐデモ隊と、建物の中で疲弊しきった官僚たちの対比も面白かったです。外の彼らは騒ぐだけ。国を守る上では1ミリも役に立っていない。結局国を動かしているのは官僚なのだなあと。

「想定外」という言葉が何度も聞かれましたが、東日本大震災の時って本当にこんな状態だったのだろうなと思いました。

 

首相って、賢くなくてもいいのか…

今回の映画では、首相(前半)はわかりやすくあほっぽく描かれていました。「あ、そうなのか」とか「そんなこと聞いてないぞ!」とか。でも思ったんですけど、これって首相がめちゃ頭切れる人で、先の先の先まで読めるような人でもそんなに変わらんのとちゃうかなって。

官僚って、全国からめちゃくちゃ「賢い」人たちが集まってきてやってるわけですよね?んでそもそも国のことすべてなんてどーーーんだけキャパがでかくて頭の回転が速い人でも絶対に把握なんてできない。その上細分化された各分野でめちゃくちゃ優秀な人たちがそれぞれ仕事をこなしてるわけで、分析とか将来予測とか全部その人たちがやってくれちゃうんですよね。首相って、トップって、権力の代理人なんだなあ…というのを強く実感しました。

 

 美しさと、恐怖と

目に焼き付いているシーンがあります。日米両軍の攻撃をものともしないゴジラは、背中からの光線で頭上の戦闘機を撃墜。その後口から吐き出した光線は、閣僚たちの乗ったヘリコプターを粉砕し、東京を焼きつくしてしまいます。紫色に光る背中。火の海と化した最先端都市。なんだかとても、美しかった。畏怖ってこういうことなのかもしれない、と思いました。圧倒的な力の前での無力。神、か……

 

兵器とか自衛隊とか、チョーかっこいい

戦闘機とか戦車とか電車(!?)とか、わんさか出てきます。ほんとにかっこいい。一斉射撃とかミサイルとか、サイコーです。防衛大臣、めちゃ男前やったな…笑 稲田氏……うん、がんばれ。

実はスコーン、戦闘機とかを見るのがめちゃ好きです。知識は全くありませんが。受験勉強中の息抜きに、第二次世界大戦の戦艦・戦闘機写真集を眺めていたほどです。技術が最も進歩するのは戦時なのだなあ、ということを実感させてくれました。恐ろしい話ですが…

クライマックス、みなさんもよく知っている乗り物で攻撃をしかけるところはかなり面白かったです。曲が途端にザ・怪獣映画っぽくなったのが良かった。

 

災害シーン、キツい

特に最初の、ゴジラがいきなり侵攻してきたときの一連の場面。あの避難シーンはけっこうキツかった。初めて顔と身体全体が映るシーンは、本当に気持ち悪くて、怖くて、寒気がしました。本当にあんな目に遭ったら、ちょっと、マジで、ムリ……

想定外すぎて避難指示も全く機能していなくて、それでも消防士さんや自衛隊は住民の避難を最優先させなきゃいけなくて、命を守る仕事って本当に重たいな…と思いながら観ていました。

地下が避難するひとたちでぱんぱんになったり、東京から出ていく人たちのバスで交通網がパンクしたり、あーやだ………かなり感情移入というか、「自分がこんな目に遭ったら…」と考えやすいたちなので、キツかったです。

首相(後半)の言葉、「避難ってのは人の生活を根こそぎ捨てさせることだから、そう簡単には言わないで欲しいんだよなあ…」というのがかなりぐっときました。そうだよね。。。

 

日本語ネイティブで、よかった

この映画、終始チョー早口です。おまけに知らない単語が大量に出てくるので、言ってる言葉は半分わかれば上出来なくらいです。日本ネイティブ歴24年のおかげで、「これは必要な言葉」「これはわからなくてよい言葉」の聞き分けはスムーズですし、わからなくてよい言葉オンパレードのシーンは割り切って雰囲気だけ楽しむことができます。

たぶんこれ、英語吹き替えで見ても全然良さがわからないと思います(互いにかぶせまくりだし)。英語字幕なんてなおさら。なので、こんなに面白い映画を日本語で一層面白く観れるのは本当に幸運だと感じました。

 

俳優さんたち、すごい

早口つながりでいくと、俳優さんたちほんとにすごい。この映画、まじでわかんない言葉だらけです。なんか官僚のうんたらかんたらとか、生物学?とか自衛隊の兵器とか命令とか。でも、そうした単語をつらつら早口でいうだけだったらそんなにすごくないと思うんです。

私がすごいなと思ったのは、全員が「自分が言っている内容を理解しているように聞こえた」こと。日常会話でもそうだと思うのですが、相手がその単語/言葉を理解しているかって声のトーンで一発でわかりますよね。知らない、理解していない言葉を喋っているときって、明らかに声が上ずったりイントネーションが不自然になったりします。声の芯が不在になります。

この映画では、登場人物全員が、自分が今言っている内容を理解しているように聞こえた。つまり、みな自然なイントネーションで、自分の言葉で喋れていたのです。その点に内心舌を巻きながら、言葉の嵐に翻弄されていました。

本当にかっこよかったです。出演者のみなさま。

 

日本人っぽかった首相の進退

首相(後半)、よくわからないたぬきっぽく見せかけて結局ラストではめちゃかっこいい引き際を見せてくれました。本作で一番、「日本人ぽいなあ」と思ったシーンです。日本人の美徳、ですか。いや、かっこよかったです。

 

ラストシーン

ラストシーンの意味するところについては、特に公式発表はなく様々な憶測が流れているようです。私がぱっと抱いた印象は、原子力に手を伸ばそうとする人類に対する風刺」でした。ゴジラのしっぽの先の赤いところに向かって、手を伸ばしているように見えたので。まあ一瞬しか見えていませんし、適当に思いついたものですが、私はそんな印象を抱きました。

 

政府系通訳もいいなあ

やっぱ本作での官僚はかっこよくて、「政府系通訳もいいなあ」とかミーハーなことを思ってしまいました。笑 首相代理の秘書の人、英語めちゃうまかったな…「わかりました」って"Certainly."とも言うんですね。勉強させていただきました。

石原さとみ、英語うまくてびっくりしました。〇EONでゼロから鍛えた成果がこれなのならすごすぎる…!まあ、ドラマ「白洲次郎」での伊勢谷さんと中谷美紀には及びませんが…(めっちゃ好き)

通訳を目指し始めて以来、記者会見とかでも横の方に目が行くようになりました。けっこう至るところにいるんやなあと。まあどういう道に進むかはわかりませんが、がんばろっと。

 

「仕事ですから」のかっこよさ

さて、あっという間に3000字を突破してしまいました。締めます。上から下までてんやわんやの中、自衛隊のお偉いさんのセリフにしびれました。「礼には及びませんよ。仕事ですから。」くううーーーーかっこいいぜ……

 

 

いい映画でした。考えるとっかかりを随所にちりばめてくれている映画でした。さーて、そろそろ寝るとします。。。