朝からスコーン

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ピカチュウが揺るがすアイデンティティ

 

ピカチュウアイデンティティ?というわけで、今日は香港のお話です。

 

www.bbc.com

 

なぜピカチュウの改名に香港は怒るのか?

 

こいつはBBCの記事ですので、以下の日本語での引用はすべてスコーンが勝手に翻訳したものです。

 

ポケモンのキャラクターの名称は、それぞれの地方の発音に対応するため中華圏では地方ごとに異なった訳をあてていた。香港では比卡超(Bei-Ka-Ciu)、中国本土では皮卡丘(Pi-Ka-Qiu)として長年愛されてきた。

しかし今年発売の新作から、100以上のキャラの名称が本土版(北京語)に合わせられるそうです。ここで問題になるのは、広東語での発音です。北京語と広東語は同じ文字を使っても全く異なる発音をします。北京語は4声ですが、広東語は7声もあります。さらにアルファベット表記も全く異なります。

 

たとえば、ピカチュウの新名は皮卡丘で、北京語ではPi-Ka-Qiuと発音する。しかし広東語ではこの文字はBei-Ka-Jauと発音され、これでは「ピカチュウ」というもともとの名前からかけ離れてしまう、と香港で批判されている。

 6000人以上が反対運動に署名し、日本領事館前にてデモが展開されたりもしました。

 

たかがキャラクターの名前ごときで…と思う人も多いかと思います。しかし逆に、この過剰な反応こそが今香港が置かれている状況の難しさを物語っているのだと思います。

 

任天堂はおそらく、広報活動をやりやすくするためにピカチュウの名前を統一したのでしょう。しかしそれは大勢のプレーヤーの存在を無視しています。私たちは任天堂が香港のマーケットについてもっと真剣に取り合ってくれることを望んでいます。」

 

「ここ数年間、香港を香港たらしめていたものが消えつつあると人々は感じています。みんなすごく敏感になっていて、だからこそポケモンのような些細な問題がここまで大きな騒ぎになるのでしょう。」

 

香港を最も香港たらしめているのはなにか。それは言語です。

 

「香港とその他の中国を区別しているものの中で最も重要だと思うのは、おそらく言語です。」とマシューズ教授は言う。

「北京語話者が広東語を理解できないのは自明で、逆もまた然りです。北京語と広東語は通じ合える言語ではありません。

 

 

中国について

 

私たちはとかく中国人中国人と言いますが、なんせ人口10億人を超える国家(と言っていいかどうか)。それぞれの地域が強烈なアイデンティティを持っています。

香港はその最たるもので、そもそもつい最近までイギリスの植民地でしたよね。私はヨーロッパ一人旅中にある香港人夫妻と友達になったのですが、彼らには全く"Chinese"という意識はありませんでした。

名乗るときは絶対に"We are Hongkonese"ですし、「最近は本土の奴らが流出してきていて本当にやめてほしい。うるさいし礼儀がなっていない」と言っていたのがとても印象的でした。

 

今回のポケモン騒動を聞いて「また中国が騒ぎおって…」と雑に片づけてしまうのは簡単なことです。しかし、ちゃんと読んでみるとこうした背景があったわけで、些細なことが騒がれているときほど、その背後には根深い問題が横たわっているのではないか、という視点を学ばせてもらえたニュースでした。