きのう、ことしはじめてのセミのこえをきいた。じいじいじいじい…
きのう、メールのやりとりをした方のことばの綴り方がとてもすてきだった。
がらがらの阪急電車。がたんごとん、がたんごとん。
つかれて寝入ってしまったこどものあたまをなでる、おかあさんのよこがお。
通勤途中のみどり。こもれび。
以前よりも徐々に徐々に分かるようになってきた、金融の話。政治の話。経済の話。
じょうずに焼けた、ばんごはんのさわら。おいしい。
あめにぬれながら信号まちをしていたので相合傘をしてみた、みしらぬおばさんの笑顔。
しばしばあたまの中で唐突にはじまる、ベートーヴェンのカルテット。(特に2番の4楽章と3番の2楽章。ああ、1番の1楽章も一生わすれない。)
またいつか、あのひととあそこにいきたい。このひととはここにいきたい。たくさんたくさん、ぽぽぽぽって、わきでてくる。(結局いけなくてかえってさびしくなるのだけど)
うまい訳が瞬時に浮かんだ。うれしい。
異国のことばが耳に入る。う〜ん、世界ってひろくてせまくて、やっぱりひろい!いろんなことばの、わたしを持ちたい。
におい、おと。ああ、そういえばこんなことがあった。こんなところに行った。たのしかった。かなしかった。うれしかった。こんなひとたちがいた。
いろ、くうきのてざわり。こんなものをみた。こんなてざわりがあった。こんなくうきにつつまれた。こんなひかりを目にした。あざやかだった。やわらかだった。とげとげしかった。とおくまでつきぬけるようだった。
過去はしらない。ただ、ぽぽぽぽって置いてきた、心がある。色がある。手触りがある。時間がある。
未来はしらない。ただ、これからも抱いていきたい、心がある。目にしたい、色がある。触れてみたい、世界がある。時間は、有限だ。
いつまでこうして生きていられるのかな、と考えたりする。ある日いきなり、空き地のカマキリになってるかもしれない。考えるだけ、時間がもったいない。
時間は、有限だ。
「すてきだな」「すきだな」を毎日ぽぽぽって湧かしていたい。積み重ねるのとは、また違う。
感情は、積み重ならない。あまねく一過性のものだ。だから、さみしくなる。すべての瞬間は、過ぎ去ってしまった。
これから過ぎ去るのは、どんな瞬間だろう。わたしはこれから、どんな瞬間に出会いたいのだろう。