朝からスコーン

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スイスにてベーシックインカムが否決される

 

近頃人工知能だとかロボットの未来だとかに関する本をよく読んでいるのですが、そこで何度か目にしたのがベーシックインカムという概念です。

これはまず間違いないのですが、ロボットやコンピューターの発達に伴い、単純労働からホワイトカラーに至るまで多くの仕事が人間ではなくロボットによってなされる社会がやってきます。

じゃあどうやって食っていけばいいんだよ!というのは当然浮上してくる疑問でして、そこでひとつの選択肢として提示されているのがベーシックインカムです。これは、国民一人一人に、等しくある程度のお金を支給するというものです。

なにもせずとも生活に困らない程度のお金が入ってくるとなれば、人間はどのように行動するのか?これはなかなかに興味深い問題です。実際、今そうした実験を検討している国もあるようです。結果が気になるところですね。

 

 

 

スイス国民投票ベーシックインカム反対派が勝利

 

www.bbc.com

 

ベーシックインカムかあ……とつい最近考え始めたばかりの私。すでにそれを問う国民投票まで行ってしまった国があると知ってひっくり返りました。そうです。スイスです。

 

法案は、働いているか否かを問わず成人には無条件で毎月一定金額を支給するというものだった。

賛成派は、大人には月額2,500スイスフラン(約27万円)、また子供一人につき625スイスフラン(約7万円)の支給を求めていた。

 

えっ、27万円?と思うかもしれませんが、スイスってめっちゃ物価高いんですよ……27万円でもキツキツなのでは?まあわかりませんが。

 

賛成派はまた、仕事が急激に自動化することで働き口が減ってしまうとも主張していた。

 

これですよね。きっと日本における自動化の波はかなり遅れてやってくるのでしょうが(技術的問題というより精神的問題)、将来人間のすることは間違いなく減ります。

 

法案反対派は、仕事に対してお金をもらうというフローを断ってしまうと、社会に悪影響を与えるだろうと主張した。

これは懸念されてしかるべき問題です。なにもしなくてもお金が入ってくる…すると人間はどうなるのだろう…

私は何もしないのはつまんないので何かしら短時間働くなり、なにか勉強するなりすると思います。生活費が…というプレッシャーはなくなり、自分の好きなことに集中してエネルギーを費やせるのではないか。それは社会によい影響を与えるのではないか。そんな気もしています。

 

また、こんな論点もありました。

しかし、スイスベーシックインカム運動メンバーのチェ・ヴァグネル氏は「なにもしなくてもお金がもらえるということではありません。」と投票前に言った。

スイスでは、全労働のうち50%に対して賃金が支払われていません。介護や家事、そして仕事以外のコミュニティーでの労働です。ベーシックインカム導入によって、こうした労働はより高く評価されることになるはずです。

面白いですね。私がイメージしやすいのは家事ですが、たしかに。これについてはもっとちゃんと考えてから書きたいです。

 

右派政党であるスイス人民党議員のルツィ・スタム氏はこのように主張しています。「もしスイスが島国であれば、論理的には賛成です。しかし国境が開放されているとなればベーシックインカムは全く不可能です。スイスほど生活水準の高い国となればなおさらです。」

スイス国民ひとり一人に一定金額を支給するとなれば、莫大な人数がスイスに押し寄せるでしょう。

この視点に関しては、全面同意です。一つの制度を作るとなるとその仕組みの是非だけでなく、こうした外部的なことまで考えないといけないのですね…

 

ベーシックインカムがホットな国は他にもあります。

他にもベーシックインカムが検討されている地域があります。フィンランドでは低所得者層8,000人に対してベーシックインカム支給実験を行うことを検討しています。

そしてオランダユトレヒトでも、2017年1月開始予定の実験計画が進行中です。

今回のスイスの国民投票は、反対77% 賛成23%で否決となりました。ただ、そう遠くない将来、改めてベーシックインカムを真剣に検討する時期がくると思います。今回の国民投票は時期尚早だったというだけなのかもしれません。

 

 

余談ですが、フィンランドの人口は600万人弱、オランダは1700万人弱…んで日本は1.3億人弱ですからね、やっぱでかいんやなあと思います。これは小舟を動かすか戦艦を動かすかの違いでもあり、日本はなかなか先進的な取り組みができていなかったりなにをするにも遅かったりするのはある意味仕方ないのかもしれません。

大前研一さんが道州制を提唱していたのがふと頭をよぎったので、また今度読んでみようと思います。